研究概要 |
カナマイシン(km)抵抗性およびノパリン合成酵素遺伝子を持つタバコに接木した正常タバコ(SR1)の〓果より得た種子をカナマイシン硫酸100μg/mlを含む1/2MS培地上で選抜したところ、32,000以上の種子より7個体のkm抵抗植物を得た。これらのうち、3-1、9-1について自殖およびSR1との検定交雑による遺伝分析を行った所、3-1はkm抵抗性遺伝子を1個、9-1は少なくとも2個以上持っていることがわかった。しかし、3-1はそのF_2やSR1とのBF_1世代で分離比が必ずしもメンデル式分離に従わず、不安定(不規則)であった。このことはF_3やBF_2世代でも継承されていた。また9-1はF_2やBF_1世代のkm抵抗植物の80%以上の第一本葉が白化するという"漏出型"変異体であった。このように、接木によっ得られた形質転換体は、性交雑の場合とは異なり、多様な変異を有していた。さらに、もう一つの指標形質であるノパリン合成酵素についても調べた結果、3-1のF_2およびBF_1世代で抵抗性のものはノパリンも生産しており、感受性のものはそれを生産していなかった。またBF_1世代でノパリンを多量に生産する個体も得られた。しかし、9-1およびその後代は全くノパリンを生産していなかった。 現在上記二つのバクテリア由来の指標形質に関して、残る5つの形質転換体の遺伝分析を行うとともに、3-1および9-1の後代についてもさらに検討を加えている。 これらの遺伝分析と平行して、各形質転換体よりDNAを抽出し1km抵抗性遺伝子をプローブにしてSouthern法による分析を行っている。しかし、タバコの場合、ゲノムサイズが大きく、方法的に若干の問題を残している。
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