ソルガム属植物のえき芽伸長(分げつ発生)をホルモンバランスの面から解析した。 一般に、イネ科作物における分げつ発生は、植物体自身の大きさや、穂数を決定する上で重要なことである。分げつ発生は、品種によって異なるのはもとより、湿度・日長・土壌水分等の環境要因や、栽植密度、刈取りなどの栽培要因によっても変化することが報告されている。そこで、このような要因が植物体内のホルモンバランスにいかなる影響を及ぼすかを検討した。今まで研究の少ない頂芽優勢におけるABAについて焦点をしぼり、えき芽中の阻害物質としてのABAの役割を明らかにし、又、エンザイムイムノアッセイ法の可能性を検討した。さらに、IAA、6BAR処理下でのえき芽中ABAの変化とえき芽の伸長の関係を調べた。 出穂期での、茎中ABA、IAA、えき芽中ABA量は高く、えき芽の伸長は抑えられ、刈取りによってえき芽中ABA量は急激に減少し、えき芽は伸長を開始するものと思われた。又、静止芽中ABA量は高く、伸長開始が遅れるものと思われた。 エンザイムイムノアッセイ法におけるえき芽中ABAの測定は、Lassay当り、約24pg〜1ngの範囲で測定可能であった。アベナテストに比べ全体的に値は低く、又、大きく異った値もあった。それらの差異の原因は、今回からでは明らかではなく、今後検討したい。 IAA、6BAR処理下における、えき芽伸長と内生ABAの関係では6BAR処理によってえき芽の伸長開始は早まり、伸長も促進された。一方、内生ABA量は最高で約10ng/fwgと非常に少なく、又、刈取前のABA量も約0.5ng前後と低く、えき芽を抑制しているとは考えられなかった。
|