1) 根系形態の異なる品種間での交雑によって得られたF_1水稲の根系形態の変異を、根箱を用いて栄養生長期について検討した。F_1-A(農林3×密陽23) 、F_1-B(密陽23×農林3)、F_1-D(来敬×陸羽132)の根系開度は、両親の中間の値を示し、F_1-C(陸羽132×来敬)は両親よりも小さい根系開度を示した。根系占有面積も根系開度と同様の変異を示した。 F_1世代における形質発現をF┣D21効果〔{F┣D21┫D2(♀+♂)┣D71(/)2┫D7}/{(♀+♂)┣D71(/)2┫D7}〕×100の点から検討した。F┣D21┫D2-A、F┣D21┫D2-Bでは草文、葉身乾重、葉鞘乾重について+のF┣D21┫D2効果が認められ、地上部開度については、すべてのF┣D21┫D2で一のF┣D21┫D2効果が認められた。根系占有面積、根系開度については、F┣D21┫D2-A、F┣D21┫D2-Bでは+の、F┣D21┫D2-C、F┣D21┫D2-Dでは一つのF┣D21┫D2効果の傾向が認められ、組合せ品種の違いによってF┣D21┫D2効果に差があることが示された。F┣D21┫D2の分離については、次年度に後代検定を行い、遺伝的現象であるかどうかについて検討する予定である。 2) 栽培環境の違いによる根系形態の変異を検討するため、根箱を用いたモデル実験を行った。農林3合、コシヒカリ、陸羽132号を材料に用い、深層施肥、全層施肥、側条深層施肥、表層施肥(深水)条件における根系形態を検討した。施肥法の違いに関係なく、根系開度には品種間差が認められ、農林3号が一番小さく、次いでコシヒカリ、陸羽132号の順でおおきかった。また、深層施肥、表層施肥(深水)によって根系開度に有意差が認められ、いずれの品種においても深層施肥区で狭い角度の根系が形成された。生育初期段階で人工的な根切除処理を行った場合、品種としての根系形態に影響があるかどうか検討した。人工的な外圧である根切除処理を行っても、農林3号は狭い角度で根系を形成し、陸羽132号は広い角度で根系を形成した。地下部における、それぞれの品種の形態的特性は、物理的外圧に対してもかなり安定性を有していることが示唆された。
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