休耕水田土壌条件で極早生・極小粒品種Chicoの特性を生かしたラッカセイの茎葉利用を目的とする普通期作と、早生・大粒品種普通期作との組み合わせまたは早期栽培イネとの組み合わせを想定した2期作栽培による子実増殖可能性について引続き検討した。また同じ水田土壌で実施した早生および中生の大粒性3経済品種のマルチ、無マルチ栽培による子実収量試験の結果とも比較、検討した。 1.種子調整の省力化を図るために行った莢付き種子の散幡では、出芽の遅れによる苗立ち数の早期確保が剥き実播種よりも劣った。また1莢果から1固体(先豆)しか出芽しない"1本立ち出芽"が今年度も多発して低固体密度の1原因となった。莢殻による吸水阻害が低出芽速度、低出芽率の原因と考えられたが、水田土壌の重粘、多湿など物理的要因への対策の必要が認められた。"1本立ち出芽"現象は、地下結実性の本種で、莢果内での休眠覚醒の僅かな遅れのために、莢殻の構造、胚軸伸長による莢果の持ち上げ、土壌の抵抗力なども関与して基豆が犠牲になると言う仕組みで起こることがほぼ明らかになった。 2.低出芽速度、低出芽率のために期待された固体密度が得られず、それが育成後期まで栄養・生殖成長にも影響して普通期作の子実、茎葉(粗蛋白含量:10〜15%)収量は低くなった。子実収量は大粒3品種の300〜500kg/10aという高い試算収量の約1/3に留まった。品種chicoの極小粒性もその1因があるが1株子実数の生産効率では3品種劣らず、高個体密度の確保が子実収量増大の上で重要である。 3.2期作は、その幡種前の時期の多雨で適期の幡種が出来ず、低出芽速度や気温の低下ともあいまって期待した生育量が得られなかった。
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