1.供試材料の生育前歴、葉切片の置床方法、等の相違とカルス形成および再生率との関係についての検討1)葉の黄化処理;処理期間は5日間と10日間の2区とした。2)外植体の置床方法;葉片の表または裏を上にして置床した。その結果、黄化処理はカルス形成及び葉状体またはシュ-ト分化に対して好影響を及ぼすが、その程度は品種により異なること、処理期間は5日区が良好である。、葉切片の置床方法は表を培地に接して置床した裏区が、葉状体の分化率が高い、等が判明した。 2.葉切片の好適培地組成の検討 葉切片培養による再生の困難な品種を含む5品種を供試し、前年度までの実験で比較的良好と見なした5種類の培地の他、新たに植物ホルモンの濃度、組み合わせ、等を変更した6種類の培地を加えて培養実験を行った。その結果、カルスの形成率のみなず葉原基及びシュ-ト等の分化率には品種間差異が大きく認められ、多数の品種の葉切片培養に共通して好適な植物ホルモン組成の培地は明らかにできなかった。 3.突然変異誘起物質の培地への添加による変異体獲得率の向上を図る培養条件の検討1)PFPの単用または他の薬品(DL-5Fluorotryptophan、DL-5と略称)との混用処理;培養実験の結果、混用処理区では置床後40日目以降、葉状体の分化が認められず、DL-5の処理濃度、方法等について明らかにできなかった。2)処理方法;連続30日間と60日間処理及び断続60日間処理、の3区を設定して実験した結果、PFPの断続処理により長期間処理の可能性が示唆された。 4.前年迄の諸実験で得られた再生個体の細胞学的な検討 PFP添加(25mg/1区)及び無添加の液体培地で連続60日間、振とう処理により得られた再生個体の染色体数を調査した。その結果、親株(2n=54)と同数の他、2n=52、53及び2n=52+B等、数が減少した個体が見いだされた。
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