前川次郎及び次郎の果実品質調査の結果、しいな状の不完全種子のみの果実又はしないし2個の完全種子を有する果実は、無種子果実に比べて着色程度及び糖度が良好で、果項裂果幅もそれほど大きくなかった。 果実の糖度には着色程度が最も強い相関を示した。種子数と糖度とも有意な相関がはられたが相関係数は低かった。果重は糖度と相関関係を示さなかった。西条を強せん定した場合、結果数は少なくなったが、果実の大きさや品質は弱せん定の果実と同等であり、果形の違いも認められなかった。開花約20日ないし40日後における被覆線による側技結束処理は前川次郎や西条の結実を高め、しかも結果した果実の着色を促進し、特に前川次郎では糖度の向上の効果も示した。合成サイトカイニンであるKT-30並びにジベレリンのGA_3をカキ数品種の花らいや幼果に散布処理し、結実並びに果実の形態や品質に及ぼす影響を調査した。 KT-30のカキ花らい又は幼果への散布処理は早期の生理落果の防止に顕著な効果を示した。KT-30の果実発育に及ぼす影響は時期により異なり、開花前処理では果実縦径の伸長を抑制し、開花後処理では果実縦径の伸長を促進した。従って、開花後KT-30処理果は対照無処理果実に比べて、より細長の形態となった。果重はKT-30の開花約10日後の処理で特に増加した。KT-30開花後処理の時期が遅れるほど着色を抑制し、糖度も低くなった。KT-30の果径の増大効果はカキ品種の違いによって異なり、平核無で大きく、次いで西条であり、次郎系の品種では効果が劣った。GAの果実発育におよびす影響も時期により異なり、開花前及び開花時のGA処理は果実の肥大を抑制し、開花約10日後の処理では肥大を抑制しなかった。開花時のGA処理により、種子数が減少し、前川次郎の場合では果頂裂果幅も小さくなった。開花時前後のGA処理による果実の着色や糖度に対する影響は小さかった。
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