研究概要 |
カリヤサムライコマユバチに寄生されたアワヨトウ幼虫の体重増加量と摂食量は未寄生寄主に比べ減少した. しかし体重当りの摂食量は未寄生/寄主にかかわらずほぼ一定になることがわかった. またハチの産下卵数の増加に伴い, 雄の割合が増加したが, 一度のみ交尾させた雌を5齢寄生に間隔をおいて3回産卵させると, 全産卵数はその都度変化したにもかかわらず, 雌の数はほぼ一定となった. これらの結果から, カリヤサムライコマユバチは従来と異なった生比調節を行っていることが明らかとなった. 次にカリヤサムライコマユバチに寄生されたアワヨトウの幼虫の体重, 摂食量および糞重量の増加を抑制する原因を追求するため, ハチのカリックス液と毒液の混合液を寄生の5齢1日目の幼虫に注入したところ, 寄生の体重増加は, ハチが寄生した寄主と同様, 未注入の寄主に比べ抑制され, 寄生の摂食量および糞重量の増加も抑制されることがわかった. このことから, ハチに寄生されたアワヨトウの幼虫の体重増加の抑制には少なくともカリックス液と毒液とが関与していることが明らかとなった. 寄生蜂の産生する整理活性物質のうち, アワヨトウのよう化を阻止する要因について, その生理学的検討を行った結果, 一つの要因として幼若ホルモン(JH)の存在が強く示唆されたので, GCおよびGC/MS分析によるJH微量分析法を確立した.
|