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1989 年度 実績報告書

単食性ハバチの同所性食草転換機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 62560043
研究機関神戸大学

研究代表者

内藤 親彦  神戸大学, 農学部, 助教授 (70031226)

キーワード寄主特異性 / 生態種(host race) / 産卵誘引物質 / 遺伝的変異性 / 選択交尾 / 遺伝子流入 / 性フェロモン
研究概要

1.ニホントガリシダハバチのジュウモンジシダ生態種とイノデ生態種の成虫の寄主選択に関与する誘引化学物質を明らかにするために、今年度は産卵適期のジュウモンジシダまたはイノデ各500gのメタノ-ル抽出液をさらにヘキサンで抽出後、各抽出液を薄層クロマトグラフィ-により分離した7画分に対するハバチ成虫の産卵行動の頻度を調べた。その結果、両生態種の雌は画分3および4に産卵行動を示したが、異なる生態種の食草からの抽出物質には誘引されなかった。両生態種の雌は、それぞれ構造が異なる、親油性で脂質に近い構造を持つ弱揮発性のにおい成分に特異的に反応している可能性が示唆されたが、物質の同定は今後の課題である。
2.ジュウモンジシダ生態種、イノデ生態種およびシシガシラ生態種の幼虫の体液を用いて、アクリルアミド電気泳動により総蛋白および3種の酵素活性の比較を行って。、3者間の遺伝的変異性を調べた。蛋白は生態種間で若干の差異がみられ、シシガシラ生態種が他の2生態種に比べてその差異が大きいことが明らかになった。酵素活性の比較においては、MDHとMEでは生態種間に差はなかったが、エステラ-ゼでは変異性があり、特にジュウモンジシダ生態種とイノデ生態種の間には1本の特異なバンドの有無に差がみられた。
3.ジュウモンジシダ生態種とイノデ生態種との交配実験により、両者間に選択交尾の現象が存在し、ジュウモンジシダ生態種からイノデ生態種への遺伝子流入を阻止する仕組みのあることが明らかになった。このことは、選択交尾が派生生態種の遺伝的独立性を保証する有効な生殖隔離機構の役割を担っていることを示唆している。なお、選択交尾には性フェロモンの構造変化が関係している可能性を実験的に調べているが、物質の同定並びに選択交尾の形成機構の解明は今後の課題である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 内藤親彦: "ハバチ類の食性と種分化" インセクタリウム. 25. 208-215 (1988)

  • [文献書誌] Tikahiko Naito: "Sympatric host race formation zone in the fern sawfly Hemitaxonus japonicus." Evolution.

  • [文献書誌] 中筋房夫 他4名: "昆虫学セミナ-Iー進化と生活史戦略" 冬樹社, 254 (1988)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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