イミダゾール系化合物の中でも生理活性作用の強いKK-42を家蚕に投与して、2・3令期投与でも3眠化するメカニズムを検討した。また、除脳蛹へKK-42を投与して効率的に得られる永続蛹について、とくに前胸腺刺激ホルモンの生物検定用検体として、利用できるか否かを検討した。 その結果 2・3令初期のKK-42投与は、KK-42の抗幼若ホルモン作用によって、一時的にはアラタ体の機能は低下するものの、エクダイソンが分泌されるまでにはその機能は回復し、結果的には令期間が延長されるだけである。それ故、1眠蚕や2眠蚕の誘発はおこらないが、内分泌系の乱れはその後の令期間の延長となり、結果的に眠を1つ省略して3眠蚕となることがわかった。4令期のKK-42投与では、KK-42がアラタ体の機能を低下させ、エクダイソンが分泌されるまでに回復しないために3眠蚕となったり、エクダイソンの分泌が始まった後にアラタ体の機能が回復するために、プロセテリィーの個体が出現したりする。また、令期間の延長(就眠の遅れ)は、抗エクダイソン作用を示すものであるが、4令0〜48時間の投与が効果的であることから、ホルモンのフィードバック機構や脳への係わりも考えられる。 一方、除脳とKK-42投与の2重処理は、永続蛹の作成を容易にし、生物検定用検体として好都合であることがわかった。すなわち、これらの処理をするとあらゆる品種で検体を作成することができ、この永続蛹は、エクダインソンや前脳腺刺激ホルモンンに敏感に反応して成虫化が誘導された。この方法では、蛹化直後にKK-42を投与して5日後までに除脳すればよい。蛹化後90日以上経ても高率で生存する。検体としては、処理後15〜45日にわたって使用できる。反応性などすべての点で日122X支115検体より優れている。
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