研究概要 |
1.窒素固定活性発現機構解析の有力な手段となるニトロゲナーゼの抗体調製を試みた. ダイズ根粒よりニトロゲナーゼMo-Feタンパク質を精製し, 電気泳動的にほぼ均一な53KDおよび55KD二種のタンパク質標品を得た. この二つのタンパク質についてウサギ抗体を作成し, 免疫二重拡散および免疫滴定により抗53KD抗体がより特異性の高いニトロゲナーゼ抗体であることを明らかにした. またこの抗体が非マメ科植物根粒ニトロゲナーゼとクロスリアクトすることによりマメ科・非マメ科ニトロゲナーゼは相同性の高いことを明らかにした. 抗53KD抗体およびプロティンA-金コロイドを用いて免疫化学的電子顕微鏡法により非マメ科植物根粒内ニトロゲナーゼの局在性を調べた. その結果金コロイドはFrankia小胞体に特異的に局在し, 細胞分画法で示唆されているニトロゲナーゼの小胞体局在をより直接的に証明した. 2.茎粒形成にかかわる温度, 光, 栄養など環境要因についてポット栽培したクサネムを用い解析した. 外部より与えられた化合態窒素は茎粒形成に重大な影響は及ぼさなかった. また菌接種部位の光の有無も茎粒形成にはほとんど影響はなかった. これに対し温度は極めて重要であり, 20°Cにおいて茎粒形成はまったく認められなかった. 3.カウピータイプに属し宿主を異にする三種のリゾビウム(クサネム, セスバニア, ギンネム)を用い, クサネムに対する茎粒形成能力について調べた. セスバニアおよびギンネムからの分離菌はクサネムに対して茎粒形成はほとんど行わず, 茎粒形成においてもリゾビウム間の種特異性は高いものと考えられた. またクサネムと同様カウピータイプのリゾビウムと共生するラッカセイに対して茎粒形成を試みたが, 上記三種のリゾビウムでは茎粒形成は起らないようであった.
|