研究概要 |
火山灰土壌はバン土質土壌ともいわれ, 活性アルニミウムに富んでいることより, その化学的性質は悪く, わが国においては低位生産地土壌といわれ, これの改良にあたっては有機物・リン酸・石灰の施用が奨励されている. この施用リン酸塩については昭和初期よりリン酸アンモニウム(リン安)の肥効が特に顕著であることが報告され, その原因については色々といわれているが, 本研究においては陽イオン交換容量(CEC)の変化の点より検討を行なった. 得られた成果の概要は次の通りである: 1.pH7, INの酢酸アンモニウム(酢安), 塩化アンモニウム(塩安), 硫酸アンモニウム(硫安)およびリン安溶液を使用してのCEC値においては, 供試したすべての土壌において, リン安溶液を使用した時のCEC値は他のものを使用した時の値を大きく上回っていた. 2.粘土鉱物組成は異にするが, ほぼ同じCEC値を有する土壌に対して, 各種濃度のリン安および塩安溶液を加えて4°Cにて60時間放置(本年度備品として購入した低温恒温庫を使用した)して吸着NH^+_4量を測定したか, 塩安溶液においてはNH^+_4の添加量を増加しても酢安によるCEC値以下であったが, リン安においては比較的少量(酢安のCEC値の約2倍)の添加によってCEC値に達した後, 一層の添加によって更に著しいNH^+_4を吸着した. 特にアロフエン等の非晶質物質を多く含む土壌ほどこの傾向は顕著であった. 3.NH^+_4吸着後の洗液のアルコール濃度の低下と共に, 吸着量は大きく低下すると同時に, 洗滌液中に含まれるHPO^<2->_4とNH^+_4はアルコール濃度の低下にともなって急激に増加した.
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