研究概要 |
火山灰土壌は珪バン分子比が小さく,活性アルミニウムに富んでいることより,その化学的性質は悪く,わが国においては低位生産地土壌とし取扱われており,これの改良方法として有機物・リン酸・石灰の施用をその3本柱として普及指導されている。この施用リン酸についてはリン酸アンモニウム(リン安)の肥効が特に顕著であることが古くより認められている。本研究においてはリン安添加にもとずくNH_4^+の吸着量の変化について主として陽イオン交換容量(CEC)の面より検討した。 得られた成果の概要は次の通りである: 1.CECの約1/10程度のNH^+_4の添加において,NH_4^+の土壌への吸着量にあつては,硫酸アンモニウム溶液からよりもリン安溶液からの方がまさっていた。 2.硫酸アンモニウム溶液からのNH^+_4の吸着量は,前もって土壌をBa^<2+>によって処理した時には著しく増加した。 3.土壌溶液中の陰イオン濃度が土壌による吸着などによって減少する時には,土壌に吸着される陽イオンの量は増加した。 4.粘土鉱物組成は異にするが,ほぼ等しいCEC値を有する土壌に対して,各種濃度のリン安および塩安溶液を添加して吸着NH^+_4量を測定したが,塩安溶液においてはNH_4^+の添加量を増加しても酷安溶液によるCEC値以下であったが,リン安溶液においては比較的少量の添加によってそのCEC値に達し,更に一層の添加によって著しくNH_4^+を吸着した。特にアロフェン等のような非晶質物質を多く含む土壌ほどこの傾向が顕著であった。 5.リン安添加にもとずく吸着NH^+_4の増大の原因としては,従来よりいわれているリン酸イオンの吸着による陽イオン交換容量の増加のほかに物理的作用にもとずく塩吸着の可能性が強く考えられた。
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