1.キュウリ果実のアスコルビン酸酸化酵素(以下AOD)に対する抗体を調製して、キュウリ培養細胞中のAODペプチド量を定量したところ、培地に加えた過剰の銅イオンはAOD酵素の転写過程を促進していることを示唆する結果を得た。 2.先に精製したキュウリ果実のN末端からのアミノ酸配列より、10〜15番目の配列を利用して18塩基からなるDNAプローブを2種類合成した。 3.キュウリ果実の果皮より誘導した培養細胞を植物ホルモンと培地中の銅イオン濃度を最適化した培地で1年以上培養しても高いAOD活性が維持された。またその活性は新鮮重当りキュウリ果皮の約1/5となり、蛋白当りの比活性では1/3〜1/2となった。一方キュウリ黄化幼苗の下胚軸から誘導した培養細胞を用いてAOD活性を測定したところ、培地に加えた過剰の銅イオンはAOD活性を上昇させたが、最大活性は1年以上継代培養しても果実の果皮由来の培養細胞の1/4程度にしかならなかった。 4.今年度の計画で、キュウリからポリ(A)RNAを使ってc-DNAライブラリーを作成し、(2)調製したDNAプローブでAODのc-DNAをとりだす予定であったが、キュウリ果皮より純度の高いRNAを調製するのに手間ど約2000のc-DNAライブラリーを作成するにとどまった。現在RNAの調製およびpUC18を用いた形質転換も問題なく行えるようになったので、今後c-DNAライブラリーをさらに作成し、AODのc-DNA、および染色体DNAを単離してその構造の解析と銅による遺伝子発現の調節機構を解明していくつもりである。
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