研究概要 |
生物気候条件を異にする7ヶ国の火山灰土壌(アラスカ、アメリカ、日本、パプアニュ-ギニア、インドネシア、西サモア、エクアドル、チリ、ニュ-ジ-ランド)の合計100ペドン(文献調査を含む)を用いて、(1)腐植の集積とAl(Fe)腐植複合体の生成、(2)腐植複合体の性状、(3)複合体の生成上の意義について次のことが明らかとなった。 1.土壌中の腐植の集積量と年代の関係およびピロリン酸抽出のAl(Fe)と炭素量間の高い相関は、火山灰土壌における腐植の集積と安定化が生物気候条件の相違に関係なくAl(Fe)腐植複合体の生成とともに進行することを示唆していた。 2.上記のことは、アロフェンやフェリハイドライト由来のAl(Fe)量と全炭素量との間に相関関係が明らかに低いことからも示唆された。 3.集積したAl(Fe)腐植複合体は、Alpyr/Cpyr比が0.14,(Al+Fe)pyr/Cpyr比が0.17となり、単量体のAl(Fe)に加えて、重合体のものも腐植複合体の生成に寄与していると考えられた。 4.腐植の集積は、アロフェンやイモゴライトの生成を抑制することが示唆された。このことは全炭素量と(Al+1/2Fe)pyr/(Al+1/2Fe)ox比との間の高い正の相関から推定され、腐植としては火山灰土壌でもその類縁土壌中のものが抑制効果が高いことが明らかとなった。 5.熱帯・亜熱帯に存在する火山灰土壌の一般的理化学性のうち、塩基飽和度は、主に新鮮灰の供給と乾季の存在によって影響されていることが示唆され、また腐植の存在形態は植生条件(草本と森林)によって影響をうけることが明らかとなった。
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