研究概要 |
1.トウモロコシ未発芽種子にα-アミラーゼの存在を予測させる現象が観察されたが、それは他の数種の糖質代謝系酵素(たとえばα-グルコシダーゼ、イソアミラーゼ、Q-酵素、D-酵素等)の協同作用による現象であると推定された。トウモロコシ未発芽種子中にはα-アミラーゼは存在せず、他の穀類種子と同様発芽によってはじめて発現することが確認された。 2.イエローデントコーン種子では、発芽によって4種のα-アミラーゼが発現し、それらのアミラーゼは吸水後4日目以降に急激に増加した。 3.4種のα-アミラーゼのうちのα-アミラーゼIIを各種のクロマトグラフィーによって均一な蛋白質として高度に精製した。その分子両は48,000、至適pHは4.7であり、デンプンに作用ささせたときの最終的な主生成物はマルトーである。 4.生成物のアノマーはα-型であることがGLCによって確認された。 5.デンプンの分解に関するBlue value曲線から本酵素が典型的なendo型の酵素であることが判明した。 6.種々のα-グルカンに対する分解速度はアミロース>可溶性デンプン〓アミロペクチン>β-リミットデキストリン》グリコーゲンの順であった。 7.重合度を異にするマルトオリゴ糖(G_3〜G_7、G┣-(/)18┫)に対する分解様式をTLCおよびGLCによって検討し、同時に各オリゴ糖に関する水解速度パラメーター(Km,ko)を測定した。 8.それらの結果をもとに、各マルトオリゴ糖に対する主な切断箇所と活性部位におけるサブサイト構造を推定し、そのサブサイト親和力(Ai)を求めた。サブサイトの数は約7であり、A_1=0.3、A_2=0.7、A_3=0.7、A_4=2.7、A_5+A_6=-2.8、A_7=2.0(kcal/mol)と算出され、触媒部位は第5と第6サブサイト間に存在すると推定された。
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