研究概要 |
本研究では、トウモロコシの花粉および柱頭に存在するスフィンゴ脂質、とくにオリゴ糖含有の機能性脂質の分離と化学組成について検討した。また、花粉のスフィンゴ脂質の性状が他の部位のそれとはかなり異なって特異性を有することが見出されたので、他の脂質クラスについてもその化学的特性を解析した。以下、スフィンゴ脂質に関する研究成果の概要を述べる。 1.中世スフィンゴ脂質群の化学組成 花粉と柱頭中の中性スフィンゴ脂質としてセラミド、セレブロシド(モノグリコシルセラミド)、ジグリコシル-、トリグリコシル-およびテトラグリコシルセラミドが分離された。そのうち、前二者が主要な脂質クラスであった。これらの主なセラミド残基は、共通してhydroxyarachidoyl-sphingadienine,hydroxylignoceroyl-4-hydroxysphingenineおよびhydroxybehenoyl-4-hydroxyspingenineであった。その組成比は、セラミド、セレブロシドおよびオリゴグリコシルセラミドの間で異なっていた。花粉のオリゴ糖脂質群の糖鎖構造は、ジグリコシル型ではGlc(β1→4)-Glc(β1→1′)-、トリグリコシル型ではGlc(β1→4)-Glc (β1→4)-Glc(β1→1′)Man(β1→4)-Glc(β1→4)-Glc(β1→1′)-およびテトラグリコシル型でばMan(β1→4)-Man(β1→4)ーGlc(β1→4)-Glc(β1→1′)-Man(β1→4)ーGlc(β1→4)ーGlc(β1→4)ーGlc(β1→1′)ーと、それぞれ推定された。 2.酸性スフィンゴ脂質群の化学組成 3種以上のスフィンゴリン糖脂質群の存在が見出された。これらの糖鎖構造は、glucosaminosyl-glucuronosyl-(mannosyl)-inosityl-,)arabinosyl or galactosyl)-〔glucosaminosyl-glucuronosyl-(mannosyl)-imosityl〕-および(arabinosylgalactosyl)n-〔glucosaminosgl-glucueonosyl-(mannosyl)-inosityl〕-と考えられた。セラミド残基の組成は、質的には中性スフィンゴ脂質群のそれらと類似していた。
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