本年度の研究目的は、ソマトメジンCレセプタ-のmRNAのcDNAを取得すること、ソマトメジンC-mRNAの肝臓中の量に栄養条件がどのように影響を及ぼすかを解析し、血中のソマトメジンC濃度との関連を明らかにすること、の2点であった。 第1の課題については、諸臓器におけるソマトメジンCレセプタ-のmRNAの発現量が微量であるためと考えられるが、直接ソマトメジンCレセプタ--mRNAのcDNAを取得することには成功しなかった。しかし、近年急速に普及しているPCR法(ポリメラ-ゼ連鎖反応法)を用いて、ソマトメジンC遺伝子のエクソン部分の一部を増幅することに成功したので、今後cDNAを用いて行うべき研究を、この断片を用いて進めることが可能となった。 第2の課題については、本年度は必須アミノ酸欠乏がソマトメジンC-mRNAの肝臓中の量におよぼす影響を解析した。まず、タンパク質を食餌素材として必須アミノ酸欠乏食を調製し、上記の解析を行った。その結果、メチオニン、リジン、トリプトファン欠乏の影響についての結果が明らかにされたが、いずれの欠乏食も、ソマトメジンCmRNAを明確に減少させることが明らかになった。さらに、結晶アミノ酸を用いて必須アミノ酸9種類のそれぞれを欠乏させた食餌をラットに給与し、血中のソマトメジンCの濃度を測定し、肝臓中のソマトメジンCーmRNAの対応を調べた。その結果、肝臓中のソマトメジンC-mRNA量は、よく血中のソマトメジンC濃度に対応して増減することが明らかになった。 以上、タンパク質・アミノ酸栄養において、ソマトメジンCが重要な機能を果たしていることが明らかになり、本年度の目的は大部分達成されたと判断した。
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