昨年度はヒマ種子を材料としてプロテインボディー液胞の変換を解析したが、今年度は、同様の変換現象を示すカボチャ種子を用いて解析を行った。 各発芽の時期にあるカボチャ種子子葉から、プロテインボディあるいは液胞の単離法を確立した。精製したこれからのオルガネラ画分を超音波処理により破壊し、その膜成分を無糖密度勾配遠心法により分離した。膜成分の密度は、プロテインボディ膜はd=1.20g/cm^3であるが、発芽2日目にはd=1.7g/cm^3、4日目にはd=1.07g/cm^3と徐々に現象した。この膜密度の減少は、構成膜蛋白質の変動に対応していると考えられるため、各膜画分の主要蛋白質を解析した。 その結果、乾燥カボチャ種子のプロテインボディ膜には、5種類の主要膜蛋白質(73kD、51kD、32kD、27kD、23kD)が存在していた。発芽後2日目の膜画分には、これらの蛋白質の量は少なく、発芽後4日目の膜画分には、これらの蛋白質は検出されなかった。一方、2日目の膜画分には、新たな膜蛋白質として94kDが、4日目の膜画分には、それに加えて58kD、16kDの蛋白質成分が検出された。これらの結果より、種子の発芽に伴って、プロテインボディは液胞に変換していくが、その変換期には、膜蛋白質構成が大きく変動していることが明らかとなった。 プロテインボディー液胞の変換には、種子の発芽後2日目までに生じるプロテインボディの融合がその重要な因子となる。そのため、乾燥種子プロテインボディ膜の主要蛋白質(73kD、51kD、32kD、27kD、23kD)と2日目までに出現してくる膜蛋白質94kDに焦点をしぼり、これらの膜蛋白質の得意抗体を調整した。これらの特異抗体がプロテインボディ膜の融合にどのように作用するか解析を加えている。
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