種子の発芽に伴い、プロテインボディは互いに融合して、液胞に変換していく。このプロテインボディ液胞変換現象を、特にmembrane flowにおいて重要な膜融合機構の解明に焦点を置いて解析を加えた。 各発芽の時期にあるヒマ及びカボチャ種子子葉から、プロテインボディ膜あるいは液胞膜(トノプラスト)の単離法を確立し、それらの膜蛋白質の変動を解析した。ヒマ種子のプロテインボディ膜には、4種の主重膜蛋白質(80kD、28kD、26kD、24kD)が存在するが、プロテインボディから液胞への変換に伴って、これらの主要膜蛋白質は減少していった。一方、カボチャ種子のプロテインボディ膜には、5種の主要膜蛋白質(73kD、51kD、32kD、27kD、23kD)が存在していた。これらの主要膜蛋白質も、発芽に伴うプロテインボディー液胞の変換過程において減少していくこと、逆に新たな膜蛋白質(94kD、58kD、16kD)が出現してくることが判明した。これら膜蛋白質のうち、ヒマ種子80kDとカボチャ種子73kD、及びヒマ種子26kDとカボチャ種子32kDは、特異抗体が各々と反応性を示すことから、構造及び機能に類似性をもつことが考えられる。 組織化学的解析から、プロテインボディの融合は、種子の発芽吸水後2日以内で生じることが明らかとなった。そのため、乾燥種子プロテインボディ膜の主要蛋白質(73kD、51kD、32kD、27kD、23kD)と2日目までに出現してくる膜蛋白質(94kD)に焦点をしぼり、これらの特異抗体を作製した。特異抗体を用いたこれら膜蛋白質の変動の解析は、上述の結果と支持するものであった。現在、これら膜蛋白質の膜内におけるトポロジーを解析するとともにこれら膜蛋白質の特異抗体が、プロテインボディ膜の融合にどのように作用するか解析を加えている。
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