光合成遺伝子発現を制御する光応答蛋白質の本体を調べることを試み次のような成果を得た。 1.光応答蛋白質はエンドウの葉緑体DNAにコードされている。 2.その遺伝子はリボソーム蛋白オペロン又はpetAを含むオペロンにある。 3.そのmRNAは光誘導初期に発現する。 4.そのmRNAは阻害剤クロラムフェニコールを投与した状態でも光誘導される。すなわち、新規蛋白合成なしでもmRNAは増加する。 5.petA型近傍のエンドウ葉緑体DNA配列を決定した結果、DNA結合蛋白質にみつけられている特有のアミノ酸配列を指定しているORFがみい出された。 6.そのORFの指定するアミノ酸配列の一部をオリゴペプチドとして合成し、抗体を作成した。 7.その抗体を用いて、葉緑体蛋白に抗原抗体反応を示す物質が存在することを確認した。 8.光誘導をひき起すレセプターがフィトクロームかどうかを調べるために作用スペクトルを測定した。遺伝子発現の作用スペクトルは本研究で初めて測定され、そのスペクトルはフィトクロームのスペクトルとほぼ一致した。 今後は上記の結果をふまえて、光応答蛋白質を単離するために、大量の植物から蛋白を抽出し、抗原抗体反応を指標にして蛋白を精製し、アミノ酸配列を調べ明らかにする予定である。次に試験管内の転写反応に本蛋白の及ぼす効果を調べる予定である。
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