研究課題/領域番号 |
62560083
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 裕 京都大学, 農学部, 助教授 (60089117)
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研究分担者 |
駒野 徹 京都大学, 農学部, 教授 (30026413)
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キーワード | 組み換えDNA / DNA複製開始部位 / 一本鎖上DNA合成開始シグナル / ssiシグナル / プラスミド / DNAプライミング / 繊維状ファージベクター |
研究概要 |
プラスミドpACYC184が有する一本鎖上DNA合成開始シグナル(ssiシグナル)の機能に寄与する塩基配列や構造を検索するためにステムーループ構造に注目し、部位特異的突然変異導入法を用いてステムの上流と下流にそれぞれユニークなSplIおよびEcoRV部位を構築した。これらの部位に種々の塩基配列の合成DNAを挿入したところSplI部位ではSSI活性が3倍程度上昇するものがみられたが、EcoRV部位では先と同じ種類の合成DNAを挿入して得られた変異株のすべてが活性の低下を示した。このことからステムの上流と下流領域ではSSI機能への寄与が異なることが明らかとなった。たとえば上流域は活性レベルの調節、下流域は基本的活性を決定している可能性が考えられる。RI由来のプラスミドpSY343は2つのシグナルssiAおよびssiBを持つことが明らかにされた。ssiAはDNA複製開始領域に、ssiBはこれから離れた位置にある。広宿主域プラスミドRSF1010が有する2つのシグナルssiAとssiBはその機能発現のためにRSF1010のrepB′遺伝子産物の存在が必須であることが示された。他の研究グループによってこの遺伝子産物はRSF1010に特異的なプライマーゼであることが示された。つまりssiAとssiBを特異的に認識してプライマーにRNAを合成する酵素であると考えられる。RSF1010のDNA複製が大腸菌のdnaB、dnaC、dnaGおよびrpoBに依存しないこととssiAとssiBがRSF1010のoriV内にあってDNA合成のプライミングを支配している可能性がきわめて高いことを考え合わせると、このプラスミドの広宿主域を決定しているのはDNA合成のプライミングの過程であることが強く示唆されたと言える。なおプラスミドpLG214とpDPT1227については現在までに調べた限りssiシグナル検出に至らない。
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