研究概要 |
1.緑膿菌ω-アミノ酸トランスアミナーゼ 本酵素は1600個のアミノ酸残基からなるテトラマー酵素で, ピリドキサルリン酸を補酵素としてω-アミノ酸とアミノ基受容体との間のアミノ基転移反応を触媒する. 単結晶の空間群はI222で格子定数はa=124, 67〓, b=1-37, 90〓, c=61, 45〓. 重原子誘導体はソーキング法によりマーサリルおよび白金誘導体結晶を作成し, 各結晶の反射データはイメージングプレートを用いた写真法により行い約2, 3〓の領域の反射データを収集した. 重原子の位置は差パターソンおよびフーリエマップを作成し, 本酵素の反射データの位相を決定した. (mean figure of merit=0, 56, data=14, 674). 以上の結果より6〓分解能で本酵素のモデルを作成した. 2.小麦γ-グリアジン 3種類の小麦γ-グリアジンを高速液体クロマトグラフィーにより分離精製し, そのタンパク化学的特性を明らかにした. 精製したγ-グリアジンは3種ともγ-型のアミノ酸組成を有し, N末端側のアミノ酸配列を決定して1種はγ_<2->, そしてもう1種はγ_3-グリアジンであることを確認した. 更にγ_3-グリアジンについてはCDスペクトルより二次構造を算定した結果, α-ヘリックス(26.9%)とβ-構造(32.1%)を有し, それぞれの構造がタンパク質分子内で局在していることが推定された. このことから精製過程においてタンパク質の不可逆的な変性は起こっていないことが判明した. 以上の成果よりγ_3-グリアジンは単結晶調製のための試料として有効であると判断した.
|