研究概要 |
1.緑膿菌ωーアミノ酸トランスアミナーゼ 放射光(2.5GeV)をモノクロメータを利用して分光し、その単色X線を線源とし、富士フィルム(株)のImaging Plate(IP)をディテクターとしてScreenless Weissenberg cameraを用いてX線回折実験を行い、native結晶および2種の重原子誘導体結晶についてそれぞれ1.8〓分解能の反射データを収集し、2.3〓分解能で本酵素の構造解析を実施した。17,953の反射データを使用してRefinementした結果、〈m〉=0.65であった。本酵素は4個の同一サブユニット(40〓x45〓x55〓)から構成されるが、そのうち2個のmonomerが相対的に強く結合してdimerを形成し、更に、dimer同志が緩く結合してtetramerを形成していた。各サブユニットは12個のhelixと3個のβーsheetを含み、大ドメイント小ドメインに区別することができる。そして、多くのhelix構造はサブユニットの表面に位置し、補酵素のピリドキサールリン酸は各サブユニットに1個ずつ結合していることが判明した。本酵素の活性部位はLysー287とArgー406を含む大ドメイン領域にあって、サブユニットによって形成されたdimerの深いクレフトに存在すると考えられる。 2.小麦γーグリアジンの分子形状 X線小角散乱法および電子顕微鏡観察を併用して単離精製したγ_3ーグリアジン(4B)の分子形について考察した。本タンパク質は濃度の異なる70%エタノール試料溶液についてギニエプロットが平行な直線を与えることから単分散溶液として存在し、その勾配から慣性半径が約36〓と推定された。また、距離分布関数から長径が160〓以下の楕円体であることが予想されたので、形状関数を利用して分子の形状についてシュミレーションした結果、偏平な楕円体であることが示唆された。しかし、電子顕微鏡観察ではX線小角散乱の値ほど偏平でないことが予想された。
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