研究概要 |
1.緑膿菌ωーアミノ酸 ピルペートアミノ基転移酵素[EC 2.6.1.18] シンクロトロン放射光を利用して本酵素の三次構造を2.0〓分解能で決定した。単結晶の晶系は斜方晶で、空間群I222格子定数はa=124.7〓、b=137.9〓、c=61.5〓で、単位格子に2分子を含有していた。回折強度データの収集は検出器としてフジImaging Plateを装備した巨大分子用Weissenberg cameraを利用し、native結晶とマーサリル、白金の2種の重原子誘導体結晶について1.8〓分解能の反射データを収集した。位相計算は重原子同型置換法により、低分解能モデル(6〓分解能)については〈m〉=0.56、また高分解能モデルについては〈m〉=0.80であった。本酵素は同一subunit4個からなり、かたく結合した2個のdimerが更に緩く結合したテトラマー酵素で、4個の活性中心をもっている。subunit(40〓×45〓×55〓)あたりアミノ酸残基数446で1個のピリドキサルリン酸を含む。subunitの分子量は約47,500で、二次構造として12個のhelixと3個のβーsheetを有す。 2.小麦γーグリアジン 3種類の小麦γーグリアジン(4Aー1、4Aー2、4B)をHPLCにより分離精製し、そのタンパク質化学的特性を明らかにした。精製したγーグリアジンは3種ともγー型のアミノ酸組成を有し、N末端側のアミノ酸配列を決定して4Aー1はγ_2ー、そして4Bはγ_3ーグリアジンであることを確認した。γ_3ーグリアジン(4B)についてはCDスペクトルよりαーヘリックス(26.9%)とβー構造(32.1%)がそれぞれタンパク質分子内で局在していることが示唆された。また、X線小角散乱法および電子顕微鏡観察を併用してγ_3ーグリアジン(4B)の分子形について考察し、偏平な楕円体(30〓×160〓×10〓)であることが判明した。しかし、電子顕微鏡観察ではX線小角散乱でシミュレートした値ほど偏平でないことが予想された。
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