1.ビタミンE欠乏がラット腹腔多形核白血球のFMLPによるPAF生合成を増強することが明らかとなった。〔^3H〕アセチルCoAのアセチル基をlyso PAFに転換するアセチルトランスフェラーゼの活性はビタミンE欠乏ラットの白血球では2.28±0.07nmol/min/mg proteinであり、ビタミンE添加ラットで観察された酵素活性(1.06±0.10nmol/min/mg protein)より有意に高かった。しかし、〔^3H〕PAFを〔^3H〕lyso PAFに分解するアセチルヒドラーゼ活性は、ビタミンE欠乏とビタミンE添加群でそれぞれ、4.26±0.66と4.26±0.06nmol/min/mg proteinであり、両者には有意な差は認められなかった。ビタミンE欠乏ラットより調製した白血球にαートコフェロールを添加してもアセチルトランスフェラーゼ活性は抑制されなかったので、αートコフェロールが本酵素を直接、阻害する可能性は低い。ビタミンE欠乏群と添加群のアセチルトランスフェラーゼのKm値はほぼ同一であったが、前者のVmaxは後者の約2倍であることから、ビタミンE欠乏時には白血球のアセチルトランスフェラーゼ量が増加するものと思われる。 2.ウサギ血小板形質膜における〔^3H〕PAFの膜内移行速度は〔^3H〕lyso PAFの移行速度よりも高いが、血小板をPAF受容体拮抗薬FR-900452で前処理するとPAFの膜内移行速度は低下した。逆に、血小板をあらかじめPAFで活性化しておくと、〔^3H〕lyso PAFの膜内移行は促進された。これらの結果より、少量のPAFが形質膜表面のPAF受容体を活性化し形質膜脂質バルク相の大部分の外因性PAF分子の膜内移行が亢進することが明らかとなった。静止状態並びに活性化状態のいずれの場合でも、膜内移行したPAFとlyso PAFは速かにかつ効率良くアルキルアシルグリセロホスホコリンへと代謝転換されることが明白となった。
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