1.F.oxysporumの可溶性(硝酸誘導型)およびミクロソーム画分に回収されるチトクロムP-450(以下、P-450)は異なる分子種と考えているが、互いの画分に他方が少量ずつ混在しており、これを分離することが難かしかった。しかし、HPLCの疏水クロマト、ヒドロキシアパタイトなどのカラムにより分離可能であることが分かった。現在アミノ酸一次配列と比較検討中である。 2.可溶性P-450の誘導条件を詳しく検討した。硝酸の添加効果は1mM以下の低濃度で歴然としてみられ、また誘導には1〜2日のラグタイムがあった。アンモニアによる抑制はなかった。 3.カビ、酵母などの真菌界における硝酸誘導型P-450の分布を調べた。その結果、同P-450はFusarium属、一部のGibberella属などに存在することが分かった。またそれらの菌体可溶性画分はP-450抗体と反応、沈降線を形成する成分を含んでいた。以上は真菌の分類学の面からも興味ある知見である。 4.亜硝酸存在下での脱窒現象は、現在のところ未だ、残念ながら、生物学的現象であることを証明するに至っていない。
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