研究課題/領域番号 |
62560101
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 俊博 京都大学, 農学部, 教務職員 (30135553)
|
研究分担者 |
立木 隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (60026573)
|
キーワード | ビフィズス菌 / 特異的資化糖の酵素合成 / グルタミン合成酵素 / グルタミン酸脱水素酵素 / βーDグルコシダーゼI / βーDーフコシルマンニトール |
研究概要 |
1.ビフィズス菌のアンモニア代謝関連酵素に関する研究 (1)昨年度見出した本菌群中に存在するグルタミン合成酵素(以下GS)のアデニル化反応について検討を重ねた。その結果、本アデニル化反応は(a)GSのグルタミン合成活性だけでなく、グルタミンからヒドロキサム酸を生成する所謂転移活性も低下させること、(b)GS反応の要求金属イオンの種類が変化しないこと、(c)GS反応の至適pHが変化しないこと、などの点で大腸菌群細菌の同種反応とは異なっており、むしろ放線菌(streptomyces、Nocardia属の各1種)の場合と類似していることが明らかになった。(2)数種のビフィズス菌からグルタミン酸脱水素酵素を分離・精製し、酸化的脱アミノ化反応と還元的アミノ化反応について検討した。その結果、本酵素がグルタミン酸の生成に機能し、昨年度検討したGSとともに本菌群のアンモニア資化に重要な役割を果たしていることが示唆された。 2.ビフィズス菌のオリゴ糖加水分解酵素の性質と利用に関する研究 昨年度、Bifidobacterium breve 203のβーDーグルコシダーゼIのβーDーフコシル基転移活性を利用して、本菌の新しい特異的資化糖として有望なβーDーフコシルグルコースの酵素合成にはじめて成功したのに引き続いて、他のβーDーフコシル誘導体の合成を試みた。まずマンニトールを受容体とする反応の諸性質を検討し、合成反応の最適条件を設定した。次いで本条件下で、βーDーフコシルマンニトールをβーDーフコシル基供与体(pーニトロβーDーフコシド)に対して約45%のモル収率で合成・単離した。本オリゴ糖は少なくとも2種類の異性体から成るが、それらの構造やビフィズス菌の資化能については本研究期間中に明らかにすることはできなかった。そのほか、マルトース、キシロース、グリセロール、ソルビトールなどを受容体として新規物質の生成が認められた。
|