研究概要 |
Bacillus pumilusのキシラナーゼの結晶(0.4×0.3×0.2mm, space group P21, 単位セルの格子定数 a=40.8Å, b=66.8Å, c=34.7Å, ベータ=103Å)の2.9Å解像力でのX線解析の結果, このタンパク分子は大きいドメインと小さいドメインから成り, その間にキシラン分子が入り得る約15Åのクレフトが存在した. 両ドメインとも殆どベーターstrandで構成されている特殊な構造を有し, これはCDスペクトルからも支持された. またカルボジイミドとウラニウムによる化学修飾の結果, 酸性アミノ酸が1ないし2残基修飾されると活性が消失したことから, Asp及び/又はGluが活性中心である可能性が強い. 種々のキシラナーゼ, セラーゼ遺伝子の塩基配列から導かれるアミノ酸配列を, 構造と機能の関係が明らかにされているリゾチームのアミノ酸配列と比較すると, リゾチームの活性中心であるGluとAps付近と類似の配列が本キシラナーゼのAsp^<98>とGlu^<124>に見出された. そこでAps^<98>→Glyへの変換を部位特異的変異により行った. しかし精製変異酵素は野性型酵素の約1/8の比活性を有しており, Asp^<98>が活性中心である可能性は低いと結論された. 即ち, アミノ酸配列の類似生の比較から正確な分子機能を予測するのは困難であると思われた. 結晶のX線解析の解像度を更に上げ, 現在1.7Åでの解析を進行中である. アミノ酸の側鎖の配位も明らかになりつつあるが, 予備的結果では先述のAsp^<98>とGlu^<124>はクレフトの端に存在し, むしろAsp^<21>とGlu^<176>(又はGlu^<182>)が触媒中心の可能性が強い. この両アミノ酸の部位特異的変異を行い, その効果を検討する予定である.
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