研究概要 |
1.ビタミンC配糖体の単離と構造決定 ビタミンCの新規誘導体であるLーアスコルビン酸配糖体を、アスペルギルス・ニガーのαーグルコシダーゼを用いて、マルトースとLーアスコルビン酸から高収率(50%)で酵素合成し、単離し、その構造が6ー0ー(αーグルコシル)ーLーアスコルビン酸であることを明らかにした。本物質は銅イオン存在下においてアスコルビン酸より耐酸化性の点で優れていた。 2.微生物によるビタミンB_6配糖体の大量産生 現在までに報告された微生物および植物の酵素によるピリドキシン(ビタミンB_6)配糖体の生成はいずれの場合も低かった。本研究ではスポロボロマイセス・シングラリスがラクトース培地で培養時にピリドキシンを高変換率(90%)で配糖化することを見いだし、3つの配糖体をいずれも単離、結晶化し、それらの構造が4′ー0ー(βーガラクトシル)ーピリドキシン,5′ー0ーリドキシンであることを明らかにした。セロビオース培地ではピリドキシンをβーグルコシル化(80%)した。本研究によりはじめてピリドキシン配糖体の大量産生に成功した。またアスペルギルス・ニガーがスクロース培地で培養時に、新規配糖体5′ー0ー(βーフルクトシル)ーピリドキシンを生成することを見いだし、本物質を単離、構造解析した。 3.微生物によるヌクレオシド配糖体の大量産生 現在までに報告されたヌクレオシド配糖体の生成はいずれも10%以下であったが、本研究でスポロボロマイセス・シングラリスが各種ヌクレオシドを高変換率(50〜80%)で配糖化することを見いだし、例えば著量の3′ー0ー(βーガラクトシル)ー5ーブロモウリジンを単離、結晶化し、はじめてヌクレオシド配糖体の大量産生に成功した。
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