研究概要 |
メタル生成細菌はユニークなテトラピロール補酵素類(ビタミンB-12(FIII)、チトクローム、F_<430>)を生成することが知られている。前年度にこれの補酵素の生成を試みた。最終年度の本年度は、メタン生成細菌、Methanosarcina barkeriを用いて、これらテトラピロール補酵素類の共通の前駆体であり、また近年生物除草剤として注目されている5-アミノレブリン酸(ALA)の生産を試みた。メタノール最小培地での培養系で下記の結果を得た。 1.ALA脱水酵素の阻害剤(したがってALAが蓄積)の影響について検討した。阻害剤無添加ではALA生成は見られなかったがレブリン酸(LA)、4、6ジオキソヘプタン酸(DOH)の添加でALAの菌体外蓄積がみられ、とくにDOHは低濃度下でも有効であった。 2.ALA前駆体の添加効果を検討し、LA存在下で2-オキソグルタル酸添加によりALA83μM(無添加=37μM)を得た。 3.無機担体(珪藻上=ナガオポーセル)を充てんした固定床バイオリアクターを用いて連続生産を試みた結果、LA25mM連続供給下、滞留時間,1.8時間の高速生産が可能となり、ALA生産性は0.4mM/dayに達した。また本リアクターは約1ケ月の連続運転が可能であった。しかし、ALA濃度は31μMと低い。 4.そこで、多段固定床バイオリアクターによる高濃度化を試みた。6段バイオリアクターにより、生産性を3の場合と同程度に維持しつつALA濃度106μMを得ることができた。 以上の結果より、LAの存在下、ALAの高速生産が可能となったが、現状ではまだ濃度が低く、今後、さらに高濃度菌体を保持できる嫌気バイオリアクターの開発、あるいはALA脱水酵素欠損株の取得によるLA無添加系での生産法の開発糖も必要と考えている。
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