1.本研究では、多数のギムネマ酸同族体の中から強い甘味抑制作用を示す2種類のギムネマ酸(1)および(2)を単離した。この試料を用いて、ギムネマ酸(1)および(2)の構造を決定した。これによると、ギムネマ酸(1)および(2)は、アグリコン部分の21位の水酸基のみがそれぞれチグリン酸、2ーメチル酪酸でエステル化されている。すなわち、(1)および(2)の構造の違いは、アシル基に存在する二重結合の有無のみである。(1)の0.1mM溶液は0.2Mショ糖溶液の甘味を抑制し、(2)の同濃度溶液は0.4Mショ糖の甘味を抑制した。このことは、アシル基の構造の違いが甘味抑制効果に関与することを示唆している。さらに、加水分解してエステル基をはずすと、効果がなくなることが明らかになった。 2.ジジフィンはジュジュボゲニンをアグリコンとするトリテルペン配糖体であり、糖の水酸基が2個所だけアセチル化されている。ジジフィンを温和な条件で加水分解しアセチル基だけを取り除いた化合物は、全く甘味抑制効果を示さない。このことは、先のギムネマ酸の21位のエステル基をはずした化合物が活性をもたないことと類似の知見であり、興味ぶかい。 3.精製ミラクリンをトリプシン、Vー8プロテアーゼ等を用いて断片化し、得られた各ペプチドをHPLCで分画した後、アミノ酸配列を決定した。その結果、ミラクリンは191個のアミノ酸からなる一本のポリペプチド鎖から構成されていることが明らかになった。
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