研究概要 |
昨年度の本研究において、新規なアデニン型構造を有しない抗サイトカイニンとして6ーアルキルおよび6ーアリルアミノー2ークロロ-4ーエチルアミノーSートリアジンの開発合成に成功した。本年度はこの成果にもとづいて、さらに新規な非アデニン型抗サイトカイニンの開発を目的として研究を行った。その結果、Nーフェニルカーバメート誘導体に顕著な抗サイトカイニン活性を見出し、その活性はSートリアジン型抗サイトカイニンのそれに匹敵するものであった。 1.標的化合物の設定と合成 検索合成の対象としてアルキルおよびアリル、Nーフェニルカーバメート化合物を設定した。これはNーフェニルカーバメート類が光合成系II阻害活性において、Sートリアジン化合物と高い生物学的等価性を有することにもとづく。すなわち両者はクロロプラスト中の32Kダルトン蛋白の同一サイトに作用して電子伝達を阻害することが知られており、一見構造の異なるこれら化合物が生物学的には同一の機能を発揮すると考えられる。同様の事がサイトカイニンの作用点においても発現されることが期待される。そこで種々のアルキルおよびアリル基をアルコール部置換基としたNーフェニルカーバメート類を合成し、その活性を検定した。 2.抗サイトカイニン活性 抗サイトカイニン活性は、タバコカルスの0.05μMカイネチンによる増殖を50%阻害する濃度をもってその指標とした。活性検定の結果、炭素数3〜5のアルキルおよびハロゲン置換フェニルを有するNー(3,4ージクロロフェニル)カーバメートに10^<-5>〜10^<-6>Mレベルの活性が見出された。さらに高活性を目ざして種々のNーヘテロアリルカーバノートを合成した結果、Pーフルオロフェニル、Nー〔4ー(2ークロロ)ピリジル〕カーバメートにおいて、10^<-7>Mレベルの顕著な抗サイトカイニン活性を見出した。
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