アデニン型およびジフェニルウレア型サイトカイニンと本研究代表者らにより開発されたアデニン型抗サイトカイニン(ピロローおよびピリドピリミジン誘導体)の活性発現機構に関するこれまでの成果にもとづき、非アデニン構造を有する新規な抗サイトカイニン活性物質の合成展開を行った。 1.sートリアジン型抗サイトカイニンの開発 アデニン型抗サイトカイニンにおいて必須構造であるアルキルアミノ基あるいはアリルアミノ基を保存し、かつ含窒素複素芳香環性を有する構造として置換sートリアジン構造を選択した。種々の置換様式を検討した結果、6位にアルキルアミノ基あるいはアリルアミノ基を導入し、2位および4位にそれぞれ塩素およびエチルアミノ基を導入した構造に抗サイトカイニン活性を期待した。一連の誘導体を合成し、タバコカルステストにより活性を検定したところ顕著な抗サイトカイニン活性を示し、活性の高いものは0.05μMのカイネチンの活性を10^<-7>Mレベルで50%抑制した。 2.カーバメート型抗サイトカイニンの開発 sートリアジン化合物が顕著な抗サイトカイニン活性を示したことにもとづき、さらなる構造改変を目ざして種々のフェニルカーバメートを合成した。これはNーフェニルカーバメート類が光合成系II阻害活性においてsートリアジンと高い生物学的等価性を有することにもとづく。タバコカルステストの結果は良好で、sートリアジン誘導体同様、10^<-7>Mレベルでサイトカイニンの活性を顕著に抑制する誘導体を得た。 以上のことより、本研究において初めてsートリアジン構造とNーフェニルカーバメート構造を有する非アデニン型の抗サイトカイニンが開発された。新規な植物化学制御物質としてその利用が期待される。
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