研究概要 |
1.トランスグルタミナーゼの取得:ウシ血液凝固XIII因子(チモーゲン型トランスグルタミナーゼ、a_2b_2)の非触媒性サブユニット(b)にたいする単クローン抗体を産生するハイブリドーマクローンを樹立した。この単クローン抗体を用いた免疫アフィニティークロマトグラフィーにより、触媒性サブユニット(a)をウシ血漿よりワンステップで効率よく単離することが可能になった。 2.モルモット肝トランスグルタミナーゼのcDNAクローニングと全一次構造の解析:cDNAの塩基配列から本酵素の全一次構造が解析され、分子量は76,620と算定された。決定した一次構造を基にして、活性中心配列の構造的特徴やカルシウム結合部位について考察することができた。肝トランスグルタミナーゼと血液凝固XIII因子の一次構造ホモロジー解析は、両者における相同領域を明確にし、本酵素の触媒機能に重要と思われる一次構造部位を示唆した。 3.モルモット肝トランスグルタミナーゼのN末端プロセッシング:本酵素のNおよびC末端部ペプチドを単離して構造を解析した。その結果、本酵素はN末端プロセッシング(翻訳開始メチオニンの除去と隣接アラニンのアセチル化)を受けていることが判明した。 4.動物トランスグルタミナーゼの大腸菌中での発現:モルモット肝トランスグルタミナーゼの全コード領域を含むcDNAを発現ベクターpKK233ー2のNcoI/PstI部位に組入れることにより、非融合型の本酵素蛋白質を合成するようにデザインした発現プラスミドpKTG1を構築した。pKTG1でトランスフォームした大腸菌は、天然型トランスグルタミナーゼと同じ触媒能をもつ組換え型酵素を産生した。
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