研究概要 |
食品照射が各国で相次いで許可される傾向にある. 照射食品の安全管理に対する措置, すなわち照射線量と安全性を検討をすること, 入荷した食品が放射線照射を受けたか否かを鑑別する検知法を開発・確立することが重要な課題となっている. 照射食品の検知法の開発は, 消費者にとっても, 照射現場での線量管理的見知からも重要であるにも関わらず, 従来の分析法は, 操作性, 信頼性などに問題があり, 操作性に優れしかも信頼性の高い検知法が要望されている. 本研究では, 照射食品を鑑別する簡便かつ信頼性の高い方法として, タンパク質中の非天然型アミノ酸オルトーチロシン(O-Tyr)を定量的に分析することにより照射線量を推定する. 化学的測定法による照射食品の検知法の開発を試みている. すなわち, 食品からタンパク質を精製後, 塩酸加水分解し, 加水分解産物画分からO-Tyrを薄層クロマトグラフィーにより分画高速液体クロマトグラフならびにガスクロマトグラフー質量分析計(GC-MS)を用いてO-Tyrを高感度微量分析するシステムの開発を試みている. 本年度は, これまでに薄層クロマトグラフィーでの分析試料の前処理条件, GC-MSによるO-Tyrの分析法について, N-アセチル, O-ブチル誘導体としたのちシリコン系カラムで分析する基本分析条件を設定することが出来た. また, 高速液体クロマトグラフィーによる分析法についても基本分析条件を設定し, 現在γ線照射された食品試料について分析の作業を進めている. 本方法による検知法を開発する作業と平行して, 近赤外分光法, 粘度測定法など物理的測定法について定量的検知法としての可能性を検討している.
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