今年度は過去2年間の現地調査ならびに測定の欠落部を補いつつ、取りまとめをおこなった。 1.過去2回の冬季は記録的な少雪年であったため、スキ-場は営業的立場から人為による積雪層の造成につとめた。したがって自然条件下での積雪状態、残雪状態の分布を測定することは不可能であった。最終年度の冬季の降雪状態も過去2冬季と大局的には同様であった。 2.スキ-コ-スに発生している裸地面積率と地形との関係を解析し、傾斜角との間に一定の傾向を見出した。 3.裸地発生率とその近傍の植被容積量との間に密接な関係があること、また草種によってもこの関係が異なることが明らかになった。 4.スキ-コ-スの草地と、その付近に残存している林地の土壌を比較してみると、表層10cm程度のところに違いがみとめられた。 5.土壌流亡性の指標である分散率は、スキ-コ-スの草地では林地にくらべて大きいことが示された。 6.凍結融解による土壌の構造破壊は、水分条件、有機物含有量、粒径組成などにより異なることが明らかになった。 7.裸地化したスキ-コ-スに発生しているリルは、地形学でいう水系網密生法則にほヾ従っていることがわかった。 8.管理不十分で裸地、リルの発生した場合のスキ-コ-スからの年侵食量は、10のゼロ乗ミリメ-トルのオ-ダ-と推定される。
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