今年度は過去2年間の研究の不備を補いつつ取りまとめをおこなった。その結果、次の知見を得た。 1.スキ-コ-スのなかの裸地率は平均傾斜角の急なところほど高かった。 2.植生で被覆されている面の植被容積量が大きい斜面では裸地発生率が低いという傾向は一応認められるものの、ある限界を越すとこの関係は逆転する。すなわち、草丈が高くなると庇陰により地表の植生発達が阻害され、かえって易食的になるようである。 3.スキ-コ-スの草地土壌の容積重は林地のそれより大きく、裸地のそれより小さかった。これには大孔隙の減少が関係している。これらも含めて物理性の悪化は表層10cm深で顕著であった。 4.ミドルトンの分散率も草地表層土では林地表層土の2倍に上昇しており、侵食ポテンシャルの増大が認められる。 5.凍結融解作用による構造破壊は表層土よりも下層土において激しい。またpF1.5の水分含量のときの構造破壊は、pF2.7のときより激しかった。 6.スキ-コ-スにみられるリル網は、ほぼホルトン法則に従って発達していた。裸地面からの年平均侵食深は3.2mm、また草地化したところからのそれは0.9mmと推定された。
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