研究概要 |
1.研究の進展状況: 労働者生産協同組合の具体化である事業団の実体調査と資料収集を, 北海道内, 岩手県内, 秋田県内, 京都府内, 高知県内, 愛媛県内で実施した. この結果から, 各地の事業団は, 第一に公共事業の受注と雇用保険の90日給付適用を軸に事業団活動の進んだ北海道, 第二に兼業農家の自主的な農産物の加工, 流通を軸に, 農村労組が中心となり運動の進んだ岩手県, 高知県, 第三に農村労組によって林業労働者(独り親方)の組織化が進んだ京都府, の三タイプにわけることが可能である. なお, 資料調査(東京都内での資料収集)から, 岐阜県, 奈良県, 三重県内の事業団は第三のタイプである. 2.研究によって得られた新たな知見: こうした相違は, 各地域の農業構造, 労働力市場の性格, 地域経済に占める公共企業のウエイト, 林業問題の進展度(民有林業地における[先進生], 国有林の[合理化]の程度)に規定されたものであるが, 振動病の労災保障や90日適用など, 労働保障制度をも積極的に活用しながら多面的な取り組みを進めている点に共通性が求められる. 3.今後の研究方向: 農村, 山村地域での事業団活動と, 都市群での事業団活動(全日自労の中高年福祉事業団体等)の比較研究を進め, 農山村部と都市部を通した労働者協同組合運動の総体的な, 全構造的な論理を糾明する.
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