本年度の研究実施計画に基づき、民有林におけるヘリコプタ集材作業の実態を中心に調査するとともに、各種の作業条件に対応した本集材作業の作業能率(労働生産性と経済性)について検討した。 調査場所についても、現在わが国の民有林でヘリコプタ集材作業が最も普及している奈良県吉野地方および京都府北山地方を計画したが、計画どおり調査を実施することができた。 調査資料を分析・検討した結果、次の知見、成果が得られた。 1.民有林におけるヘリコプタ集材作業の目的は、林業労働力の減少・高齢化に対処して、集材作業の効率化と労働強度の軽減をはかること(吉野地方)、みがき丸太原木を一定の期間内に計画的、効率的に集材すること(北山地方)などであることがわかった。 2.作業実施時期は、上記のような作業目的により異なり、吉野地方のように年間をつうじて作業が行われる場合と、北山地方のように10・11月に集中する場合があることが明らかになった。 3.民有林における本集材作業方式のタイプは、国有林の場合とは異なり、低海抜人工林・短距離・中小径材集材型といえるが、集材作業の労働生産性について検討したところ、かなり効率的な作業が行われていることが確認された。 4.ヘリコプタ型伐出作業の生産費単価に占める集材費単価の平均比率は、16〜47%で、国有林における80%程度の比率に比べると、非常に小さくなっているが、本作業の経済性の指標としての丸太の販売単価と生産費単価の比の平均は、1.44〜6.08となっており、集材対象木の材質によりかなり幅のあることがわかった。 5.国有林における本集材作業の調査資料に数量化理論を適用して、作業コストと作業条件の相互関係を予測モデルにより明らかにした。
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