昭和58年以降、ヘリコプタ集材作業が国有林の択伐施業林分に導入されはじめ、民有林でも吉野・北山地方等高品質材を生産する地域において、近年この作業方式が採用されるようになってきた。しかし、各種の作業条件に対応した本集材作業の能率は、まだ明らかにされておらず、作業技術体系も確立されていない現状にある。そこで、ヘリコプタ集材工程を中心とする合理的な伐出作業システムの設計とヘリコプタ型伐出作業の技術体系を確立するための基礎資料を得ることを目的として、非皆伐施業における各種の作業条件に対応したヘリコプタ集材作業の作業功程と作業コスト等の実態について、昭和62年度は国有林、昭和63年度は吉野・北山地方の民有林を対象に調査し、その現状と今後の検討課題を明らかにした。 つぎに、上述のような国有林および民有林におけるヘリコプタ集材作業の実態調査資料に数量化理論I類を適用して、合理的なヘリコプタ集材作業計画の立案に不可欠な作業功程および作業コストの予測と集材作業システムの最適化についての基礎的検討を行った。その結果、ヘリコプタ集材作業では、ヘリコプタの機種が作業功程に最も大きい影響をおよぼしており、ついで集材木の樹種、集材木1本当りの平均立木材積、1集材サイクル当りの平均集材量等がつづくことを確認した。また、ヘリコプタ集材作業では、平均集材距離が作業コストに最も大きく影響し、集材木の樹種、集材作業区域の平均標高、集材木1本当りの平均立木材積がこれにつづき、ヘリコプタの機種、1集材サイクル当りの平均集材量は作業コストにほとんど影響していないことを明らかにした。以上の分析結果を用いて、各種の作業条件に対応したヘリコプタ集材作業の作業功程と作業コストの予測モデルを設計し、合理的な伐出作業計画の立案と作業システム設計への応用方法を提案した。
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