2年間に次の二つのテーマについて研究を行った。 1.クヌギ林及びクヌギ・アベマキ混交林における変異の研究 中国地方のクヌギ・アベマキ混交林にはクヌギ・アベマキの外に両者の中間的形質を備えたアベクヌギが2〜38%混生していた。これら3樹種は葉裏の毛茸の状態及び外樹皮の厚さ、質によって容易に識別できるが、パーオキシダーゼアイソザイムの変異は連続的で識別拠点にはならなかった。アベクヌギは変異の幅が広く、クヌギに近いものからアベマキに近いものまであった。各形質の相関関係については、葉毛量と外樹皮厚及び樹皮厚比との間に正の相関関係がみられた。アベマキでは胸高直径が増加するに従って外樹皮が厚くなった。 次にクヌギ二次林について樹皮形態の特徴、樹皮形態の個体内変異、林分間変異などをくわしく調査した。中国地方のクヌギでき樹皮型について四つのタイプがみられた。樹皮型、樹皮の厚さ、割裂の状態は個体内、個体間、林分間で著しく変化した。 2.マツ及び有用広葉樹の生長、材質、価格の調査と長伐期施業の検討 大阪営林局日原営林署産(島根県日原町)の馬角マツ、ケヤキ、クリなど有用広葉樹の直径生長の経過は個体によって著しく差があった。馬角マツは最初の50〜80年間が生長旺盛でその後徐々に衰えたが、100年生以降も比較的生長の良い個体もあった。ケヤキ、クリでは早生型と晩生型の二つの生長タイプがみられた。サクラは初期生長が旺盛であった。丸太の入札価格は材質によって著しく差があった。マツとケヤキ材は一般に径級が大きくなるに従って価格が上昇した。良質材を生産するためには長伐期施業が必要であることが判明した。
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