研究概要 |
1.食用担子菌(ヒラタケ, タモギタケ)を用いてDNA単離に適した培養方法の検討. 担子菌の生活環で試料として検討に値するものは菌子と子実体が考えられる;菌子は一次菌糸は二次菌糸があり, 子実体では原基, 幼子実体, 成熟子実体, また傘, 茎, などの部位別の試料が考えられる. 今回の実験では二次菌糸, 成熟子実体(全体を利用)の試料について検討した. 必要試量約700gであり, 菌糸の液体培養では500mlのコルベンで約20gの菌体が出来35本の培養を必要とし, 多くの労力を要した. 子実体は栽培瓶で約10本で必要量から得られたので以後はこの条件で実験を行った. 2.各種試料からのミトコンドリアDNAの単離, テンサイ, ヒトヨタケのミトコンドリア単離方法を参考にして実験を行ったが, いずれの手法を用いてもDNAは分解を起していた. 現在のところ確実な分離法は確立していない. この分解は担子菌中のDNAアーゼ活性が高いために起こるものと考えられる. 今後はこれらの事を考慮して, 例ば, プロとプラストにした後でDNA単離処理行うなど, 検討して行く考えである. 3.電気泳動によるDNA分析, 上述の理由により, 完全なDNAの泳動パターンは得られていないか, 操作の途中で例ば制限酵素処理をしないで泳動した場合には通常の泳動方向と逆の方向に流れることを生じた. これらの現象はザルコシルの量を多くすると正常の方向に流れる. これについても検討の余地がある. 4.特定遺伝子の単離とクローニングは出来なかったので, 来年度に行う予定である.
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