研究課題/領域番号 |
62560166
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
喜多山 繁 東京農工大学, 農学部, 教授 (10026502)
|
研究分担者 |
川口 正夫 東京農工大学, 農学部, 助手 (00014936)
|
キーワード | 丸のこ切削 / 鈍化過程 / 工具摩耗 / (1( / )3)オクターブバンドパスレベル / 送り力 / モニタリング / 表面粗さ / アコースティックエミッション |
研究概要 |
工具の切れ味が悪化することを鈍化と呼ぶ。鈍化は切れ刃が摩耗していくことによって所要動力が増大したり、切削表面が悪化するといった形で表れるが、そのような現象がある許容限度を越えるとき、工具の寿命がきたと判定される。本研究は工具の寿命を作業中に、簡単かつ的確に判断する手段として音響計測の有用性を明らかにしようとするものである。昭和62年度の研究においてすでに、丸のこの切削距離の増大によって歯先摩耗量や送り力が増大し鈍化が進行するが、切削による音響放射はこれとよく対応し、研磨直後の新しい工具と寿命直前とを比較すると10〜15dB音圧レベルは上昇し、初期摩耗時における摩耗量の急増と音圧レベルの上昇もよく対応することを明らかにした。昭和63年度ではこれらの研究成果からさらに切削音の周波数分析に主眼を置き、丸のこの鈍化過程を通じて一定周波数域毎の音圧レベルの変化を調べ、鈍化状態を把握するための指標となりうる周波数帯域の検出を行った。切削音は空転時と比較して1kH_2より高い周波数域に主たる成分を持つ。歯先摩耗量が増大すると、高周波数域のいくつかの帯域で1/3オクターブバンドパスレベルは著しく上昇し、これらはオーバーオール音圧レベルの増加量をはるかに上まわった。そしてこれらバンドパスレベルと歯先摩耗量とはきわめて高い相関を示し、高周波数域での特定1/3オクターブバンドパスレベルの計測が、丸のこの鈍化の指標としてきわめて有効、有用であることが確かめられた。1/3オクターブバンドパスレベルによる工具摩耗の監視は通常のオーバーオール音圧レベルのそれに比べてはるかに工場内の暗騒音による影響が少なく、インプロセスでのモニタとして有用であるといえよう。加工面の性状として被削面のRmaxを求めたが、このRmaxと音響放射量もよい相関をしめし、被削面の表面あらさの悪化とともに音圧レベルは増大する傾向をしめした。又鈍化とAE事象も検討した。
|