研究概要 |
1.LVLには, 米TJ社のマイクロラム(2.OE, 公称厚さ2インチ)を用いた. 釘は2×4工法用のJIS-CN90釘, ボルトは直径16mmのハイテンションボルトを用いた. 限界応力拡大係数K_<IC>(開口様式)およびK_<IIC>(面内せん断様式)は, それぞれ3点曲げ試験法および4点せん断負荷試験法によって求めた. LVLの比重およびK_<IC>, K_<IIC>はそれぞれ, r=0.56, K_<IC>=28.7kg・cm^<-3/2>, K_<IIC>=101kg・cm^<-3/2>であった. 2.204材サイズのLVLに打釘したときの割れは, 材表面では打ち込んだ側より突き抜ける側のほうが大きく, また材中央より材端に打った時のほうが大きく割れた. 材内部では表面よりかなり大きく割れた. LVL構成ラミナの裏割れにそった割れの進展も見られ, 内部での変動はかなり大きかった. しかし, 平均割れ長さは, S-P-Fのランバーと同等もしくは小さかった. アコースティック・エミッションAEの発生は, ほぼ釘の打ち込みに要する荷重に比例した. 3.ボルト接合部の破壊試験は, 曲げおよび引張試験によって行った. 試験体の寸法は横架材としての利用を考慮し, 210材サイズ(梁たけ235mm)とした. 試験体の材端からのボルトの距離を変えて実験を行い, 接合強度に及ぼすボルト位置の影響を調べた. 曲げ試験では, ボルト接合位置が材端に近ずくと接合強度が低下し, 亀裂はボルト孔付近からゆっくり進展した. ボルトが材端から遠くなると突発的に大きな割れが進展し, 終局破壊に至った. AEの発生は, 荷重の増減につれて変化した. 引張試験では, まずボルト孔から材端に貫通する亀裂が入り, その後突発的にLVLのせん断破壊を起こし, 終局破壊に至った. AEは, 亀裂の発生時に急増した. 4.次年度は, 繰り返し負荷耐力に関する実験と, 接合耐力の破壊力学的解析について検討する.
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