1.前年度の予備的実験に引き続き、キンギョに対する抗サケGtHウサギ血清投与実験を行ない、血中抗サケGtH抗体活性の時間経過を検討した。 抗サケGtH血清(100%または1%)は0.2ml/100gBW投与した。血中抗体活性は^<125>I標識したサケGtH、抗ウサギ1gGヤギ血清を続けて試料に添加し、遠心後沈澱の放射活性を測定して行い、結果は段階希釈した投与血清を標準にして、その希釈率(%)で表わした。 100%血清投与キンギョ血漿中の活性は6〜12時間後に約1.3%に達し、投与量の20%以上が血中移行したことが示された。1%血清投与では血中活性がほぼ1/100で、変化のパターンは酷似していることから血中移行は過剰の蛋白に対する一時的な備蓄ではないと考えられる。 投与後の血漿を電気泳動、抗ウサギ1gGヤギ1gGを用いたイムノブロッティング法で分析したところ、血中移行1gGと元のウサギ血清1gGとで泳動像に差がなく、血中移行に伴う分子変化は極めて小さい。 2.ニジマスに対し鶏卵免疫グロブリン(1gY)の血中移行についてアガロースゲル化などの促進効果を調べた。1gYの測定はアルカリフォスファターゼ標識抗1gYウサギ1gGを用いた酵素免疫測定法によった。卵黄の水溶性蛋白画分を低融点アガロースでゲル化して投与したところ、個体によっては明らかな血中移行があり促進効果が見られたが、結果は一定せず今後の検討課題となった。海水浸漬、食塩添加は効果がなかった。 3.消化器系の発達が未熟なシラスウナギに対し1gYの経口投与を試みた。餌付け前の魚に胃内投与するとかなり急速な血中移行が見られるが、餌付け1ケ月の魚では移行はほとんど見られず、2ケ月では全く認められなかった。現在消化管の発達と、血中移行能の変化、特に移行能消失過程との関係について継続調査中である。
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