研究概要 |
1.刺網の漁獲効率の概念とその推定法:刺網の漁獲プロセスを3段階に分けて, 各段階の漁獲決定要因を(1)漁獲対家魚と刺網設置場所の関係(2)網目の漁獲選択性(3)浸漬日数, 海況, 他生物との関係として考え, 漁獲効率はこれら要因の連結概念として示される. この考え方に基づいて数種の漁獲モデル式を作成し, 福島県下の46隻の年間操業資料により, モデル式の妥当性と諸パラメータを推定した. その結果漁獲効率は刺網の浸漬日数で変化し, 効率の最大とy3日日数が存在し, それ以後は急速に減少することが分った. 2.刺網の漁獲選択性:養魚池のニジマスを用い母集団組成の判明している魚について選択性実験を行い, 絶対選択率測定を行った. その結果, 実験水槽の大きさ, 実験魚の密度により, 絶対選択率に影響をもつことから, これらの関係をさらに実験を重ねて調べる必要性があること, また漁獲効率は絶対選択率の総和であることが, ほぼ分った. 3.漁獲効率の直接計測とその装置:発光ダイオードを用いたエリアセンサによる魚の行動分析装置を作成し, 羅網機構を調べるための実験を行った. その結果, エリアセンサのセンサ領域が当初予想していたよりも狭いことから装置の改変と実験を行ったが計測の可能性を得て次年度に継続することとした. 4.玉効率の整理モデルとシミュレーション:漁獲数理モデル式より漁獲効率推定式を導出し, パソコンにより, すでに得たパラメータを用い, 無効魚量の予測シミュレーションを行った. 5.今後の研究計画:(1)本年度に得た漁獲プロセスのモデル化をさらに推進し, 適正操業方式のシステム化, (2)魚群行動計測法と装置の作成継続, (3)漁業管理方策との管理因子としての漁獲効率の制御役割を明らかにし, 刺網漁業の操業管理方策の確立などである.
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