研究概要 |
本年度の研究においては、シラス網で混獲されるハゼ類仔魚、特にアカハゼ仔魚の出現時期や生息場所の特徴などを明らかにすることを目的とした。得られた結果は下記の通りである。 1.駿河湾奥部の興津シラス漁場のシラス舟曳網で混獲されるハゼ類仔魚は、アカハゼ、マハゼ、サビハゼ、リュウグウハゼ、コモチジャコ,オオミミズハゼ、ニシキハゼ、スジハゼなどであった。それらのうち、個体数で最も多く出現したのは、アカハゼ(47.4%)、次いてマハゼ(28.3%)、サビハゼ(17.5%)の順であった。このことから、シラス漁獲物中のハゼ類仔魚はアカハゼ、マハゼ、サビハゼの3種が主体であるとみなした。 2.ハゼ類仔魚の出現時期と水温との関係について調査した結果、アカハゼ仔魚とマハゼ仔魚は、15.0℃〜16.5℃の比較的水温の低い4〜5月中旬に多く出現し、18.0℃〜19.6℃の水温が高まる5月中旬以降は減少することが明らかになった。また、サビハゼ仔魚はそれとは反対で4〜5月中旬に少なく、5月中旬以降に増加することが明らかになった。 3.ハゼ類仔魚の生息水深を日中に魚群探知機で、29回調査した結果、いずれの調査においても、ハゼ類仔魚はシラスとともに海底直上付近に生息していることが明らかになった。その水深は7〜19mであるが、多くの場合、水深10m前後であった。 4.アカハゼ仔魚の生息場所の淡水混合率を調査した結果、淡水混合率1.9%以下の場所では、全体の11.9%の仔魚が、3.0〜3.9%の場所では、22.9%の仔魚が、6.0%以上の場所では7.2%の仔魚が出現した。
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