研究概要 |
伊豆諸島, 伊豆半島, 紀伊半島, 薩南諸島および琉球諸島で, 海綿動物を中心に, 海産無脊椎動物93種を採集し, それぞれを熱メタノールで抽出後, 脂溶性および水溶性画分を調製して, 各画分のMortierella ramannianus, Candida albicansおよびPenicillium chrysogenumに対する抗カビ性をペーパーディスク法で調べた. その結果, 海綿動物が活性の出現頻度と強さの点で, 抗カビ物質の探索対象として最も有望と判断された. また, 脂溶生画分に活性がみられる検体が多かったが, 海綿動物では水溶性画分にも活性が認められたものが割合多かった. なお, 海綿以外にはあまり有望そうな種類はみられなかった. 上記スクリ-ニングで浮かび上がった活性種のうち、まず腔腸動物ヤギ類類のトゲナシヤギAcalycigorgia inermisから活性物質の分離を試みた。すなわち、生試料をエタノ-ルで抽出後、溶媒分画、シリカゲルカラムクロマトグラフィ-およびHPLCにより精製して、acalycixeniolideA(1__〜)とB(2__〜)と命名した2つの抗カビ物質を得た。これらの構造は主に機器分析により珍しいノルジテルペンと判明した。次に、八丈島産海綿Petrosia 5pから、petrosynal(3__〜)と命名した特異なC_30-ポリアセチレンアルコ-ルを単離して、絶対構造まで明らかにすることができた。
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