研究概要 |
ウナギ血清よりアルブミンを精製する過程で, ウナギ血清蛋白の主成分がリポ蛋白であることが分かった. そこで研究課題名とは異なるが, 血清リポ蛋白について調べた. 1.ウナギ血清から高密度リポ蛋白(HDL)を, 超遠心法により分離し, さらにトヨパールHW-55Fによるゲル濾過によりHDLを精製した. HDLの全血清蛋白に対する割合は, 30〜35%となった. HDLは蛋白と脂質からなる複合体で, 蛋白の占める割合は複合体全体の35〜40%, 脂質のうち主成分のリン脂質が42%を占めていた. また蛋白質は, 分子量28,000と, 14,000のものが主成分であることが分かった. これら2種のアポリポ蛋白の精製を次のようにして行った. HDLを凍結乾燥後脱脂し, 6Mあるいは8M尿素存在下でトヨパールHW-55Fカラムを用いて精製した. 2.ウナギ肝臓から遊離肝細胞を調製し, 無血清培地で培養した. デイッシュはあらかじめファイブロネクチンでコーティングしたものを用い, 培地はウイリアムE培地にインシュリン, グルカゴン, プロラクテン, 成長ホルモン, EGF, H_2SeO_3を添加したものを用いた. ^<14>C-ロイシンを培地に添加後, 2〜32時間インキュベートし培地中に分泌された蛋白を電気泳動し, そのフリオログラムからHDLの分泌を確認した. インキュベート4時間目から, HDLのアポリポ蛋白の分泌が確認された. 32時間インキュベートした細胞は, 培地中に大半の血清蛋白を分泌していたことが確認出来た. 3.精製した2種のアポリポ蛋白を抗原としてマウスに腹腔注射し, 免疫後その脾細胞とミエローマを融合した. 選択培地を用いて融合細胞を選び, アポリポ蛋白に対する抗体産生の有無を酵素免疫測定法により測定した. 選んだハイブリドーマを2回クローニングし, 16種のクローン細胞を得ることが出来た. 目下これらの細胞を用いて, モノクロナール抗体を精製中である.
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