1.87年10〜11月に実施した山東省陵県、安丘県、昌邑県、竜口市の農村経済調査(私自身のヒアリング、委託したアンケート調査)の整理、分析をおこない、村落構造、家族経営、宗族関係、共同体的諸規制に関する諸問題を整理した(現在も進行中である。)。 2.本研究の歴史部門として文部省科学研究費海外学術調査(「近代中国社会における民衆運動に関する総合的研究」:代表佐々木衛氏)の分担研究者として山東省平原県、鉅野県の農村調査を実施し、解放前の山東省農村の経済構造、農家経営、農村市場構造、宗族関係、共同体的諸規制などについての貴重な知見を得た(10〜11月)。12月以後、調査記録の整理、分析を実施している。 3.3度の上京で東大、中央大、駒沢大などの研究者と交流を行うと共に、中国近現代史研究会(代表野澤富氏)で、本研究の一部を「中国農村問題の所在-改革下の山東省農村を訪ねて-」として報告した(7月)。 4.84年11月、87年10〜11月の2度にわたる同一農村の調査、88年10〜11月の歴史調査で、現在の経済体制改革下での家族経営と農村地域経済構造の歴史的段階規定と中国社会主義の類型規定に関して貴重な学的認識が得られたと確信する。それは今日の家族経営の本質とその発展方向についての中国的特質を共同体的規制→小農的自立→小農の解体=農民属分解の文脈の中で把握することである。 5.とりまとめと理論的概括については89年度以降にもちこされている。89年度は、これを精力的にすすめるつもりであるが、2で述べた海外学術調査(本研究の歴史部分)による北京、天津地区の調査、海外学術研究(大学間協力研究)での山東省経済開発に関する実態調査への参加による成果も本研究にくみ入れたいと考えている。
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